ボランティアを除けば、1番多くの日本語教師が働いているのが、国内の日本語教育機関、いわゆる日本語学校です。
日本語学校は、主に留学生が大学等への進学や日本での就職の準備をしながら、日本語を学ぶところです。
また、家族滞在等で日本で生活する人の中にも、日本語学校に通う人は多くいます。
この記事では、一般的な国内の日本語学校(今回は神戸東洋日本語学院)の1年の行事や業務の流れを紹介します。
国内の日本語教育機関で日本語教師になりたい!と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
・日本語教師の仕事内容
・日本語学校の一年の行事の流れ
前期(4月~9月)
日本語学校の多くは前期(4月~9月)・後期(10月~3月)の2期制です。
まずは前期(4月~9月)の日本語学校の行事の流れと、それに付随する日本語教師の業務内容を見ていきましょう。
3月|新入生の入国
ほとんどの日本語学校は、日本の大学や高校と同じく、4月から新学期が始まります。
そのため、新入生の多くは3月末~4月頭にかけて、日本にやってきます。
日本語学校では、新入生の空港迎え、寮までの送迎、住民登録などを行い、これから新入生が日本での生活を始めるにあたっての準備をサポートします。
規模の小さい日本語学校では、専任の日本語教師もこれらの業務に携わることが珍しくありません。
また、この時期は、教務に関しても、新学期の開始に向けて、カリキュラムや教材等の準備が忙しくなります。
4月|新学期開始前の全体会議
4月の開講に向けて、専任・非常勤講師が一堂に会し、ミーティングが開かれます。
前年度の報告や新年度の方針の伝達、新任職員の紹介、授業の進め方の確認等を行います。
新しい先生も、まもなく迎える日本語教師としてのデビューに向けて準備をします。
4月|入学式・オリエンテーション
新入生の入学式を行います。
新しい学生の入学の日は、教師にとっても身が引き締まる一日です。
専任の日本語教師は、この日に学生のプレイスメントテスト(クラス分け試験)を実施します。
筆記試験と会話試験の点数を総合的に判断し、新入生のクラス・レベルを決定します。
また、学校のルールやこれからの日本の生活での注意事項(ゴミの出し方等)についても、オリエンテーションを行います。
入学式が終わったら、いよいよ新学期の授業が始まります。
5月|遠足
5月には新入生もクラスや学校生活に慣れ、クラスメイトや先生とも打ち解けてきます。
神戸東洋日本語学院では、この時期に新入生の遠足を行っています。
これまでには、淡路島や京都、奈良など、関西を中心に日本文化や風景を楽しめる場所に行ってきました。
教師と事務職員が引率し、この日は勉強を忘れて学生と一緒に遠足を楽しみます。
6月|EJU(日本留学試験)
新入生でこの試験を受ける人は少ないですが、在校生はこの時期にEJU(日本留学試験)という大きな日本語の試験を受験します。
この試験の結果は、主に留学生の大学進学の際に利用されます。
多くの大学は、この試験の受験や、一定の点数の取得を、入試の受験資格として設定しています。
在籍2年目の学生の多くは、この試験のために勉強を続けてきています。
4月~6月は、この試験の受験のための追い込みの時期になるので、日本語教師も対策授業や模擬試験などを集中的に実施し、在籍している留学生をサポートしていきます。
6月|中間試験
6月には中間試験を行います。
神戸東洋日本語学院では、基本的に授業は2ターム制(前期:4月~9月、後期:10月~3月)で授業を行っているため、この時期に前期の中間試験があります。
専任の日本語教師は、この時期までに試験の作成等を行います。
7月|7月生の入国、入学式
神戸東洋日本語学院は4期制のため、7月(と1月)にも新入生が入学してきます。
2期制の日本語学校は、普通新入生の受け入れは4月と10月のみです。
ただ、海外の高校や大学は、6月や7月に卒業を迎えるところが多いため、待期期間の少ないこの時期の留学を希望する学習者もいます。
4月と同様、日本語教師は新入生のレベル・クラス分け、オリエンテーションなどを行います。
7月|JLPT(日本語能力試験)
7月には、EJUと並ぶ大きな日本語の試験、JLPT(日本語能力試験)が実施されます。
この試験は、N5(低)~N1(高)まで5段階でレベル分けされていて、それぞれの試験で合否判定があります。
英語で言う英検のようなものです。
この試験の成績は、大学受験だけでなく、大学院入試の受験要件になっていたり、就職の際に必要な資格として設定されていたりします。
将来への道を開くため、多くの学生がこの試験を受験します。
教師はEJUの際と同様、試験対策授業を行ったり、模擬試験を実施したりします。
8月|夏休み
8月は多くの日本語学校が夏休みに入ります。
神戸東洋日本語学院でも、年によって異なりますが、2週間~1か月程度の間、授業はお休みになります。
当校の日本語教師もこの時期に長期休暇を取る人が多いです。
ただし、9月の期末試験の準備や、8月だけの特別授業の実施、休み明けの授業準備、普段できない教材作成など、日本語教師がやるべきことはたくさんあります。
8月|夏祭り
8月の夏休みには、日本の夏祭りの出店などを体験するイベントがあります。
学生が主体となって準備し、出し物をしたり、お店を運営したりします。
浴衣を着たり、模擬店を出したりと、学生たちにとって初めての経験ができる貴重なイベントです。
9月|期末試験
9月には前期の締めくくりの期末試験があります。
半年間学んできたことをしっかりと身につけているかを確認するための試験です。
神戸東洋日本語学院では、漢字語彙・文法・読解・聴解・会話・作文の6つの試験があります。
日本語教師は、この時期に試験の作成、実施、採点、成績の算出等を行い、在籍者の進級判断や、新クラスの決定を行います。
期末試験が終われば、束の間の秋休みに入ります。
以上、前期(4月~9月)の大体の行事の流れを紹介しました。
後期(10月~翌3月)
後期の行事や業務の流れについては、以下の記事にまとめてありますので、良ければ読んでみてください。
後期には留学生の大学・専門学校受験が本格化し、私たち日本語教師も、在校生の卒業に向けての準備が始まり、忙しくなってきます!
ただ、イベントも多く開催され、在校生とともに様々なものを作り上げていく楽しさでとても充実している時期でもあります。
ぜひ後期の仕事の流れについても、併せて読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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