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音声学とはどんな科目?日本語の音声を分かりやすく解説!

日本語の音声学の解説

この記事では、当講座で扱う「音声学」の授業や、日本語の音声の基礎について解説します。

これから日本語教師養成講座を受講したい!
日本語の音声や発音について興味がある!

という方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を読んだら分かること

・「音声学」ってどんな授業?
・日本語の音声ってどんな特徴があるの?
・そもそも音声ってどうやって作られるの?

人はどうやって声を出しているの?

私たちは、普段無意識に音声を産出し、発話やコミュニケーションを行っています。

しかし、そもそも人はどのようにして様々な種類の音声を生み出し、使い分けているのでしょうか。

まずは「発声」と「調音」という2つのポイントから見ていきましょう。

(1)発声

私たちは、空気を肺から喉・声帯へ、そして口や鼻と送ることによって音を出しています。

ただし、息だけを出すと、基本的に音はありません。

このときは喉(喉頭)にある「声帯」が開いている状態です。

そこで、息を吐くときにこの声帯を緩く閉じて震わせることによって、音(声)を出すことができるようになります。

そして、声帯を通った空気(「呼気」と言います)を口や歯、舌、喉などを様々な形・位置に変えることによって、様々な種類の音を作り出しています。

ちなみに、声帯の振動(つまり声)を伴う音を「有声音」、伴わない音を「無声音」と言います。

キーワード:発声、喉頭、声帯、有声音、無声音

(2)調音

肺から送られてきた空気を鼻や口から出す時に、舌や唇などを動かして音の出方や通り道を変えることで、人は様々な音を出すことができます。

これを「調音」と言います。

舌や歯などで空気の通り道を妨げずに、口腔(口)だけから息を出すと、日本語の「a,i,u,e,o」のような「母音」を出すことができます。

このとき基本的に鼻腔(鼻)への空気の通り道は塞がれています。

それとは対照的に、舌や歯などで空気の通り道を塞いだり狭くすることによって出せるのが、「k,t,s,n」などの「子音」です。

キーワード:調音、鼻腔、口腔、母音、子音

音の出し方や種類はどのようなものがあるの?

基本的な音声の出し方が分かったところで、具体的な調音の方法や種類について少し見てみましょう。

ここでは母音と子音に分けてご紹介します。

(1)母音の出し方と種類

前述のとおり、母音は基本的に舌や歯などで空気の通り道を妨げずに音を出します。

ただし、舌の位置や唇の形などを変えることで、様々な種類の母音が生まれます。

例えば、「イ・エ・ア」と音を出してみると、だんだん口が大きく開き、舌の位置が口の奥の方へと動いていくのが分かります。

このように、空気の通り道は塞がずに、舌や唇で空気の量や通り方を変えることによって、様々な種類の母音を発声することができます。

(2)子音の出し方と種類

子音の種類はたくさんありますが、基本的には舌や歯、唇などで空気の通り道を塞いだり狭めたりすることで音が生まれます。

口の中で、舌や歯、唇などで空気の流れを妨害する位置を「調音点」と言います。

例えば、両唇(上と下の唇)をくっつけてまた開くと、マ行・パ行・バ行の音が作れます。

また、舌を上の歯の付け根あたりに接触させて発声すると、タ行・ナ行・ラ行などの音が作れます。

このように、調音点を変えることによって、様々な音を生み出すことができます。

キーワード:調音点

音素、拍(モーラ)と音節

ここでは、音の単位である音素、拍(モーラ)、音節について簡単に説明します。

(1)音素とは?

日本語の「夢」と「梅」を例に考えてみましょう。

言うまでもなく、この2つの言葉は、全く違う意味の言葉です。

ただ、音声学的に見れば、この2つの言葉がかなり似た特徴を持っていることに気が付きます。

ローマ字で書けば、「夢」は「yume」、「梅」は「ume」ですね。

つまり、「夢」に含まれる「y」の音がこの2つの意味の違いを作っていると言えます。

このように、言葉を区別するために必要な最小単位の音のことを、「音素」と言います。

日本語の音素には、「a,i,u,e,o」や「k,t,s,b,m,g,y…」などがあります。

(2)拍(モーラ)とは?

先ほど「夢」と「梅」の違いを決定づけているのが「y」という音素だと書きましたが、実際に「y」が単独で発音されることはありません。

日本語の場合、「y」は「や(ya)」「ゆ(yu)」「よ(yo)」などのように、「y+母音」という形で発音されます。

このように、実際に発音される際の音のまとまりの最小単位「拍(モーラ)」と言います。

日本語の場合、拍は基本的に1文字に1なので、「夢(ゆめ)」も「梅(うめ)」も2拍です。

また、「ラーメン」は4拍、「うどん」は3拍、「サッカー」は4拍というように、「ッ」や「ン」、「ー」なども1つの拍として扱われます。

(3)音節とは?

拍(モーラ)は「っ」や「ん」「ー」などにもあてがわれますが、実際に単独で「っ」や「ー」「ん」が発音されることは、基本的にはありません。

例えば「ラーメン」の「ー」はその前の「ラ」と一緒に発音されるし、「サッカー」の「ー」はその前の「カ」とともに発音されます。このときの「ラー」や「カー」などの音のまとまりを、「音節」と言います。

音節は、「ャュョ」「ン」「ッ」「ー」以外の文字の場合は、拍(モーラ)と同じように扱われます。

例えば、先ほど上の章で挙げた単語の拍と音節の数は、以下のようになります。

言葉拍(モーラ)音節
梅(うめ)22(う+め)
ラーメン42(ラー+メン)
うどん32(う+どん)
サッカー42(サッ+カー)

キーワード:音素、拍(モーラ)、音節

拡大五十音図って知っていますか?

日本語の五十音図は、誰もが見たことがあると思いますが、実は日本語教育では、そこに外来語由来の音を追加した「拡大五十音図」が使われることがあります。

拡大五十音図には、以下のような特徴があります。

・元々の日本語の発音にはない「子音+小さいアイウエオ」で作られる音が追加されている
・「ジ」と発音が同じ「」や「ズ」と発音が同じ「が省略されている
本来「タ行」として扱われてきた「チ」や「ツ」が(「タ」「テ」「ト」とは子音が異なるため)別枠として扱われてい

外来語の流入が増え、五十音図には存在しない音が日常生活にも広く浸透したため、それらも網羅した拡大五十音図の必要性が高まりました。

キーワード:拡大五十音図、外来語

アクセントとイントネーション

「アクセント」や「イントネーション」という言葉は、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ここでは、その違いや特徴についてご紹介します。

(1)アクセントとは何か?

代表的なもので言えば、「箸」と「橋」、「雨」と「飴」などはそれぞれ「はし」「あめ」と同じ表記を持ちますが、それが発声される際は相対的な音の高低でどちらの言葉かを区別します。

このような音の高低を「アクセント」と言います。

日本語のすべての言葉には、この高低のアクセントがあります。

ただ、1文字ずつの拍に固有のアクセントが決まっているわけではなく、単語の中で恣意的に変化します。

なお、言語によっては音の高低ではなく、強弱でアクセントを区別する場合もあります。

アクセントは恣意的に決まると書きましたが、実は、日本語のアクセントには2つの基本的なルールがあります。

①単語だけを発声した際、1拍目と2拍目の音は変化する
(1拍目が「高」なら2拍目は「低」、その逆も同様)
②1つの単語の中で、「高」の部分が離れて2か所以上存在することはない
(一度「低」になると、再度「高」にはならない)

アクセントは、先ほどの「橋」と「箸」のように、単語を区別する役割(「弁別機能」)と、文の中での単語の切れ目を示す役割(「統語機能」)があります。

キーワード:アクセント、高低、強弱、弁別機能、統語機能

(2)イントネーションとは何か?

アクセントが基本的に語の中での音の高低を示すのに対して、「イントネーション」は、文全体の音の高低の変化のことを言います。

分かりやすい例で言えば、「明日は休みです」というときは文末部分に向けて音の調子が下がっていきますが、「明日は休みですか?」と質問を投げかける場合は文末で上昇イントネーションが見られます。

これ以外にも、感情の有無や強弱、話し手の態度等によって、文全体の音の高さの変化が起こります。

円滑なコミュニケーションのためには、このイントネーションが不可欠だと言えます。

キーワード:イントネーション

まとめ

日本語における音声学の基礎的な部分について解説しました。

発声や調音の方法、日本語(や諸外国語)の音声の特徴などに関する知識を持っておくと、実際の授業でも、以下のように、役立つことが多々あります。

・日本語の発声や聞き取りにおいて、学習者がどのような点でつまずきやすいかが分かる
・どのようにすれば学習者の発音を自然な発音に近づけられるかが分かる
・外国語の発音と日本語の発音にどのような特徴や違いがあるかが分かる

日本語教育能力検定試験にも必ず出題されており、新たに始まる日本語教員試験にも組み込まれる予定の音声学。

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