日本語教師の就職面接で必ずといっていいほど課されるのが、模擬授業です。
この記事では、日本語教師の就職の際に課される模擬授業の準備段階と、模擬授業本番の際に抑えておくべき6つのポイントを分かりやすく解説します。
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・模擬授業の内容と目的
・模擬授業の準備と本番で抑えておくべきポイント
模擬授業とは何か
模擬授業とは、面接官を学生役として、実際の日本語の授業をやってみせる試験です。
実際の採用面接の模擬授業では、1~3人程度の面接官が学生役(=外国人日本語学習者役)となり、10分~20分程度の授業を応募者が実施することになります。
多くの場合は、みんなの日本語など、その学校で使用している初級教材から
・〇課の導入部分を●分で
・〇〇の文型の導入と練習を●分で
などの形で、課題が設定されます。
このような形式の模擬授業は、養成講座の実技科目でも行うので、養成講座を修了した人なら、大体どのように準備をして、授業を展開するかはイメージできるはずです。
当校の日本語教師養成講座は、この実技の部分に重きを置いたカリキュラムになっており、講座の中で繰り返し練習することができるので、このような模擬授業にも焦らず対応できるスキルが身につきますよ!
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模擬授業をする目的は?
日本語教育業界は人手不足が続いていることもあり、多くの日本語学校は、即戦力で働ける(=すぐに授業に入れる)人材を求めています。
ただ、一般企業で行われるような、通常の採用面接だけでは、応募者がどの程度の授業スキルを持っているか、また、授業が予想外の展開になったときに、臨機応変に対応したり、問題を解決したりする能力がどれくらいあるかを把握することはできません。
模擬授業は、そのような能力を測り、実際に授業に入ってもらっても問題ないか、授業をしっかりこなしてもらうことができるか、応募者が自校のスタイルに合った先生かなどを見極めるために行われます。
模擬授業の準備で抑えておくべきポイントは?
まずは準備段階で抑えておくべきポイントを、3つ紹介します。
この3点を意識して、授業準備をしてみてください。
(1)指示された内容や実施環境を正しく把握しておく
しっかり模擬授業を評価してもらうためには、これが最も大切だと言っても過言ではありません。確認すべきことを、順を追って見ていきましょう。
まずは基本的なルールの確認です。
①どの教科書の何課の、どの文型を扱うのか
②模擬授業の時間は何分か
これを間違えてしまっては、どれだけ上手な授業をしても、正当に評価してもらえない可能性があるので、注意が必要です。
次に確認すべきポイントは以下の2つです。
③該当文型の、どの用法を扱うのか
④その課で初出の語彙表現の導入・説明は必要かどうか
日本語の文法表現には、複数の意味や用法を持つものがたくさんあります。
そのため、指定されたのが1つの文型でも、どの用法を教えるのかが曖昧だと、指定された時間内で全ての用法を扱うのか、最初に提示されている用法のみを扱うのかが分からず、授業準備を進めるのが難しくなってしまいます。
また、文型シラバスの教科書を使った授業では、その課で初めて出てくる語彙や表現は、文型を説明する前に導入するのが普通です。
その部分を模擬授業でやるとなると、かなり時間を消費してしまいます。
上記の2つの扱いを明確にしておかないと、採用側と応募側の理解にズレが生じて、思うような結果が得られなくなる可能性があります。
だから、この2つは、学校側から指示がなければ事前に確認するようにしてください。これを質問することによって、合否判断に悪影響が出ることは、ほぼありません。
最後に確認しておきたいのは、以下の2つです。
⑤教室は黒板かホワイトボードか
⑥プロジェクターは完備されているか、PCやタブレット等の使用は可能か
・パワーポイントで授業の準備をして持って行ったが、教室にプロジェクターがなく使用できなかった
・教室に磁石があると思っていたが、行ってみるとなかったので、用意した資料をホワイトボードに貼ることができずに困った
このような失敗は、初めて模擬授業に臨むときには起こりがちなことです。
授業スキルとは関係がない部分で失敗してしまうのはとてももったいないので、設備や機材などの設置状況や使用の可否は、事前に確認しておきましょう。
(2)個性よりも、分かりやすさと身近さを重視する
一部の日本語教師養成講座では、「日本語教師は個性が大事」と言われることもあるようです。
もちろん、実際の授業では、個性や特色のある授業をして、学習者の心をつかむことも大切なのですが、特に模擬授業においては、個性が授業の分かりやすさより重視されることはほとんどありません。
自分の趣味や扱いたいものが前面に押し出されすぎていたり、一般的に知名度が低く、扱っているテーマ自体の説明が必要だったりすると、短い模擬授業の中で時間を無駄遣いしてしまうし、肝心の文型や語彙の使い方等の説明が、伝わりにくくなってしまいます。
実際の授業でも、教師が自分の好きなものや趣味を扱いたいからという理由だけで、学習者の生活からかけ離れた話題や言葉を導入や練習で扱っていると、学習者の興味も削がれてしまうし、学んだことが実際の生活での日本語の使用に結びつきにくくなってしまいます。
模擬授業では、外国人学習者の普段の生活をイメージして、学校やスーパー、コンビニ、家庭などの身近なテーマや語彙を使いながら授業を組み立てることを意識しましょう。
そうすることによって、既習語彙を使いながら、導入・練習する文型や語彙に教師も学習者も集中できる授業が自然と組み立てられるはずです。
(3)扱う項目の類似表現や、起こりそうな誤用を確認しておく
模擬授業は、応募者が一方的に発表をして終わりではなく、学生役の面接官とのやり取りを交えながら進行していきます。
その中で、生徒役の面接官が質問をしたり、こちらの意図したものとは違う答えを返してきたり、わざと答えを間違えたりすることがあります。
模擬授業で、学生役の面接官がよく起こしてくるアクションには、以下のようなものがあります。
・前の課などで勉強した文型や語彙(既習表現)との違いを質問してくる
・文型の接続や動詞の活用を間違える
・質問に答えられず、困ってしまう(ふりをする)
これは、模擬授業の目的のところでも書きましたが、応募者が実際の授業でこのような事態が起きたときに、柔軟に対応できるかどうかを見るためにしていることです。
ただ、模擬授業では、緊張などが原因で、準備してきたものを順番にこなしていくだけで精いっぱいになってしまうこともよくあります。
そういうときにこのようなアクションを起こされると、焦ってしまって臨機応変な対応ができなくなってしまいがちです。
これを防ぐためには
・扱う文型や語彙と、その類似表現との違い
・その文型や語彙を教える際に、考えられる誤用
を事前に調べたり予測したりして、質問や誤用への対処方法を考えておくことが大切です。
実際の授業でも、学習者から出てくる質問や誤用を予測して事前に準備しておくことは、授業をスムーズに進めるために、とても大切なことです。
模擬授業本番で気を付けるポイントは?
準備もできていよいよ模擬授業本番――。
当日の授業で焦ったり、失敗したりしないように、当日に気を付けるべきポイントを解説します。
(1)使うものは使う順番に並べておく
まず、授業が始まる前に、模擬授業で使う教材や教具は、使う順番に並べておきましょう。
紙で持っていく場合は、裏に番号を振り、教案の該当箇所にも同じ番号を振っておくと、当日に順番が分からなくなることは防げます。
この点で、パワーポイントを使えば、スライドで提示順に並べることができるので、授業中に必要なものがどこかに行って焦ることもなく、余裕を持って授業ができます。
(2)タイマー(スマホ)や時計は必ず持っていく
学校によっては、稀に教室に時計が設置されていなかったり、見えにくい位置に設置されていたり、時計のない教室に案内されたりすることもあります。
指定された時間内で終わらせることも、模擬授業の大切なポイントの1つなので、タイマーアプリを入れたスマホか時計は、必ず持っていきましょう。
また、授業中に時間調整がしやすいように、教案には各セクションの所要時間や、経過時間などの目安を事前に書いておきましょう。
(3)できるだけ短い文で、はっきり話す
模擬授業では(実際の授業でもそうですが)、簡潔に、分かりやすく話すことが大切です。
特に模擬授業の題材は、大抵の場合初級の内容になることが多いので、実際に初級の外国人学習者にも分かるような話し方ができるかどうかも、重要な評価のポイントになります。
とはいえ、「分かりやすく話すってどうすればいいの?」という方も多いと思います。
そこで、簡単にできるコツを紹介したいと思います。
それは、「主語と述語が1つだけの、短い文で話す」ことです。
明日、アメリカに住んでいる両親がうちに来るので、私は部屋を片付けて、料理の材料を買いに行きました。
この文だと、主語も述語も複数あって、誰がいつ何をしたのかが、初級の外国人にはやや複雑で分かりにくいです。
そこで
私の両親は、アメリカに住んでいます。
明日、両親が私のうちに来ます。
だから、私は部屋を片付けました。
それから、料理の材料を買いに行きました。
このように1つ1つの文を短くして、接続詞で文と文の関係を明確にします。
こうすると、初級の学習者にも伝わりやすい文になりますよね。
これができるだけで、外国人に伝わりやすい話し方を意識できているという印象を与えることができるので、ぜひやってみてください。
まとめ
日本語教師の就職活動で行われる、模擬授業のポイントについて紹介しました。
これから就職面接を受ける方は、ぜひ参考にして、頑張ってください!
・これから日本語教師を目指したい!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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